ナデシコ
今朝の日の出は四時半。顔を出す角度も、今年の始めに比べて45度近く北よりになったよ。
此所最近は、親父さんが起床する頃には、既に朝日は昇った後でね。
今日は町内の全世帯が人を出して、道路側溝の泥上げをするんだって。昔は、コンクリートの蓋を全て剥がしたそうだけれど、住民が高齢化して体力も無い現在は、それぞれが自分の家の前だけに限定して作業するそうなんだ。年寄りの独り暮らしで、それもままならない家が結構あるんだよ。
アタシんちは親父さんが独り、分譲地の中を二時間程掛けて作業したんだ。ここでの問題は、何しろ売れていない分譲地だから他に住人がいないんだよ。
処で、アタシんちの庭のアチラコチラにタネを蒔いておいたカワラナデシコが、花を咲かせ始めたよ。本来ナデシコが開花するのは夏から秋にかけてだから、予想外に早い時期に咲いたことになるよ。
カーネーションと同じ仲間だそうだけれど、園芸店に行けば、鉢植えで丈の低いナデシコが買えるんだ。でも、親父さんはより丈があって、地味な花のカワラナデシコに拘っているよ。
アタシんちの家紋がナデシコなんだって。江戸時代にはアサガオなどと同じに愛好されたそうでね、その当時から家紋になっているということは、カワラナデシコであろう、という見方なんだね。だから、種を探していたんだ。
袋入りの種を買って、それを蒔いたんだそうだよ。そしたら、当初、想像していたイメージとは違い、色鮮やかなんだね。それに加えて写真より薄いピンクと、白い花を咲かせた株も出現して、原種とは言い難い、園芸品種として育種化されたカワラナデシコかもしれない。そう親父さんは見ているんだ。
じゃあ、親父さんが期待した原種により近いカワラナデシコなんだけれど、昨年、親父さんが働いていた国営公園の海浜区域に、ハマヒルガオやスカシユリに混じって自生するカワラナデシコがあるそうでね。
この写真がそうなんだ。
親父さんが原種、原種と拘る割には「これが良いじゃん」と、家族の支持はもっぱら庭のカワラナデシコなんだ。




現役時代、地域の住民の会合に呼び出されて、その時の議題が、「公園は子供の為に有るのか、ペットの為か」、なんて騒ぎもあったそうなんだ。

これがモニターに写し出された画像なんだて。

アタシんちでは、最近、ケンニャンが部活指導とかで朝五時半には出勤するから、其れに合わせて皆が動き出すんだ。一番閑な筈の親父さんは、昨日今日と庭と畑の仕事で忙しいんだって。夕方にはまた会議があるとか。
市内に住む親父さんの仕事仲間でもある森林学者は、この春から、その臨海公園で自然観察会を主宰し始めたそうでね。親父さんも、その公園で活動する花修景ボランティアグループの発足とサポートを担っているんだって。そんな関係で、親しく言葉を交わす間柄だそうでね。

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