魚市場
「行ってみなっせ」。
アタシの散歩で出逢うクマ姐さんの飼い主で、元漁師、今は魚屋のオヤジさんが言ったんだ。以前、親父さんが、「銚子市民になったんだから、一度は魚市場の競りを見ておきたい」。そう話していたんだよ。
今朝、出逢ったら、態々市場に電話を掛けて、水揚げの様子を聞いてくれたんだね。「今朝はよ〜、ビンチョウが三隻入って来ると」。
八時には競りも終ってしまうと言うんで、アタシの散歩もそこそこに、親父さん、魚市場へ行っちゃったんだ。まるで魚屋みたいに、ゴム長履いて毛糸の帽子に雨ガッパの上着。首にタオルを巻いた格好でね。
三十分程で戻ってきたから聞いたんだ。どうだった。
「丁度、船から市場に荷下ろし中だったよ。マグロが床にゴロゴロしてた。
もっと熱気があるかと期待して行ったんだけれど、意外とクールで無駄口のない雰囲気だね。めいめい、見積もった金額を書き込んだ紙切れを、壁際に置いた投票箱に入れるんだね。適当な処で係の人が改札して、落札者の番号と金額が発表されるんだ。それを皆、淡々と見守っているよ。だから、大きな掛け声もないよ。とにかく寒さだけをヒシヒシ感じたよ。手が氷に入れた様に固まってしまったんだ」。
今朝は、あたしんちでマイナス三度。市場に行った頃は、もう日差しがあったから、気温は上がっているはずでしょ。
「そんな感じは全くしなかったよ。むしろ、グット冷え込んで冷凍庫にでも入っている感じさ。そんな所為もあるんだろうね。市場にいた人達は皆、声も出さず黙々と品定めしていたよ」。
ビンチョウマグロは、ビンナガと呼ばれて、生でも食べるし、ツナ缶にもなるんだってね。今日の入荷は千数百本程水揚げされたんだって。


正直言って、まだ馴れていないんだ。特にクルマが傍まで寄ってくるし、地面も固いしね。結構ストレスなんで、その所為か路上で柔らかいウンチをしてしまうんだ。
いいよ、入らないから。きびすを返して帰り道、頭の上をトビだかノスリだかが威嚇してきたんだ。放っといてよ〜。芝生広場が見えたから、力一杯親父さんを引っ張って戻ったんだ。
* 画像 Google Earth より
玄関の前の宅地が霜柱で盛り上がり、砂地が凍って、コンクリートのように固くなって、冷たい風に晒されたロープが棒になった。気温はマイナス一度。
怖かったよ。でも朝になったら、芝生広場は何時もの様に元気な人達が、グランドゴルフを始めたんだ。
今朝も親父さん、ニホンスイセンの移植作業をやっていたよ。もう結構な量を移植した筈だよ。あたしんちの庭にも、百株程度は入った筈だし。
草むらに埋もれて勿体ないし、皆が使う広場に少しは花があったほうがいいでしょ。そう言えば、ふ〜ん。分つたような、分らないような応えが帰ってきて、 「黄色のやつがいいね」だとさ。つまり、見慣れたスイセンじゃあ、ありがた味もないという訳さ。
園内には百数十種のコレクションがあって、植え付けられた規模もかなりあるんだ。けれど親父さん、何だか畑を見せているようで、公園なら、もうちょっとガーデニングセンスを加えたらいいのに。そう感じていたらしいよ。
昨夜来の雨も風も止んで、青空が広がっているのに鉄道が動いていないんだって。これは困ったね。
銚子市内のスーパーは、黙っていてもレジでくれる。ところがね、川向こうの神栖市内にあるスーパーは、それも同じチェーン店でだよ。レジで必ず聞かれるんだ。「いりますか?」ってね。「ください」って言うと、二円程加算されるんだ。
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