ナデシコ

  今朝の日の出は四時半。顔を出す角度も、今年の始めに比べて45度近く北よりになったよ。
 此所最近は、親父さんが起床する頃には、既に朝日は昇った後でね。
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 今日は町内の全世帯が人を出して、道路側溝の泥上げをするんだって。昔は、コンクリートの蓋を全て剥がしたそうだけれど、住民が高齢化して体力も無い現在は、それぞれが自分の家の前だけに限定して作業するそうなんだ。年寄りの独り暮らしで、それもままならない家が結構あるんだよ。
 アタシんちは親父さんが独り、分譲地の中を二時間程掛けて作業したんだ。ここでの問題は、何しろ売れていない分譲地だから他に住人がいないんだよ。
 
2387  処で、アタシんちの庭のアチラコチラにタネを蒔いておいたカワラナデシコが、花を咲かせ始めたよ。本来ナデシコが開花するのは夏から秋にかけてだから、予想外に早い時期に咲いたことになるよ。

 カーネーションと同じ仲間だそうだけれど、園芸店に行けば、鉢植えで丈の低いナデシコが買えるんだ。でも、親父さんはより丈があって、地味な花のカワラナデシコに拘っているよ。

 アタシんちの家紋がナデシコなんだって。江戸時代にはアサガオなどと同じに愛好されたそうでね、その当時から家紋になっているということは、カワラナデシコであろう、という見方なんだね。だから、種を探していたんだ。
2388  袋入りの種を買って、それを蒔いたんだそうだよ。そしたら、当初、想像していたイメージとは違い、色鮮やかなんだね。それに加えて写真より薄いピンクと、白い花を咲かせた株も出現して、原種とは言い難い、園芸品種として育種化されたカワラナデシコかもしれない。そう親父さんは見ているんだ。

 じゃあ、親父さんが期待した原種により近いカワラナデシコなんだけれど、昨年、親父さんが働いていた国営公園の海浜区域に、ハマヒルガオやスカシユリに混じって自生するカワラナデシコがあるそうでね。
2010_674   この写真がそうなんだ。
 親父さんが原種、原種と拘る割には「これが良いじゃん」と、家族の支持はもっぱら庭のカワラナデシコなんだ。

 

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余計な。。。

 「戦前のことだけんどよ!ここは元、家畜の密殺場だったんじゃ。利根川の防風林が周りを囲んでいてよ。その因縁話がいろいろあってよ。。。。肉が欲しい時は、ここに来たもんよ。今じゃそんなことを知っているのは、ここいらじゃあ俺ぐれえよ。皆死んじまったからよ。ヒッヒッヒ」。

  親父さんが今月始め頃に家庭菜園を始めて、一月程経ったよ。
その間に、雑草を取り除いて畝を築き、苗や種を買ってきて植え付けたんだ。畑仕事で行く事は勿論、母さんの日々の買い物に付き合って、それがアタシの散歩を兼ねて畑の傍を通る事もある。
なんだかんだ言って、ほぼ毎日一度は様子を見るため畑を見ている事になるね。それが、もう親父さんの日課に組み込まれているんだ。
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 殆どの場合、他のメンバーに出合うことも少なく、親父さん独りで菜園で作業する事が多いらしいけれど、それでも誰かに話し掛けられる時があるんだ。この時は、この家庭菜園のメンバーの最長老である爺ちゃんが話し掛けてきたんだって。 
 その爺ちゃん、舌が滑り過ぎて、一時間余り、一頻り御近所や家庭菜園のメンバーの噂話をすると、「
分んねえ事がありゃ俺に聞きな。教えてやるからよ」。そう言い残して帰っていったってさ。
 
 散歩している時などに、御近所の人だろうけれど見知らぬ人から話し掛けられる時があるよ。皆、アタシ達が何者か分らないのに、この街の昔話を聞かせてくれるんだよ。

 親父さん、関西や北陸など色々な地方に住んだ経験から、「何処でも同じでね。人の出入りの少ない街では
、心を許して話すと言うよりも、昔からの顔見知りには用心して話せない事でも、余所者への気楽さで話すようだね。そんな街では、中途半端に迎合するよりも、余所者は最後迄余所者として振る舞うほうが、平穏に生活出来るのさ。知りたい事も知らなくても良い事も、沈黙を守って、耳に入って来る事は聞き流す。生活の知恵さ。」、何て言うんだよ。

 長靴と帽子に首に巻いたタオル。一見、お百姓さんスタイルで菜園に出入りする親父さんだけれど、野菜づくりは初心者でね。
 そんな親父さんに、「お婆ちゃんに教えてもらいなよ」、と母さんが強要するんだ。御近所は婆ちゃん、爺ちゃんばかりだけれど、この婆ちゃんは八十歳半ば、アタシんちのお向かいでね。野菜づくりは婆ちゃん。ガーデニングは親父さん。そんな好対照かな。

 先日、母さんが垣根越しの立ち話のあげく、婆ちゃんが敷地の畑で栽培しているホウレンソウを一束、戴いたんだ。それがとびきり美味しかったものだから、もう、婆ちゃんを野菜づくりの天才扱いでね。親父さんの腕をはなから貶して、婆ちゃんに教われの一辺倒さ。
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 親父さん、人に教わる事も結構だけれど、自分で考え試して栽培したいんだよ。それが趣味としての野菜づくりだと思っているから。「農家じゃないから、失敗も又、楽し」。だってさ。
 朝夕、先日蒔いたニンジンの畝に水を掛けているけれど、今日はケンニャンがそれを楽しそうにやったよ。

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汚染水

  朝、勝手口の階段で変な生き物を見付けたんだ。
黒くてクネクネ。アタシが近寄ると、長い身体の端が持ち上がって、その先から細い紐のようなものがチロチロするんだ。匂いを嗅ぐため、もう少し傍に寄ろうとしたら親父さんが飛んで来た。 「駄目駄目、離れて!。蛇だよ、蛇」。
 何を慌てているのかアタシにはサッパリだけれど、親父さんが大嫌いな生き物らしいね。尋常じゃない形相で、家庭菜園で使う鍬を振り下ろして殺そうとしていたけれど、気が変わったらしく、結局、棒の先に絡めて芝生広場の端の薮へ捨てたよ。
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 処で、アタシんちが毎日使っている水道は、利根川の河川水に頼っているんだってね。上流の取水堰から引き込んでいるんだそうだよ。尤も銚子市も、昔は深井戸から汲み上げた地下水を供給していたそうだけれど、水の需要が増えて、それだけでは賄い切れなくなったそうなんだ。今でも個人的に浅井戸から汲み上げた水を使っている家庭もあるそうだけれど、近郊の農地では家畜の糞を肥料として使っているんだ。だからアンモニアや窒素が地下水に溶け込んでいる可能性もあるんでね。井戸水も水道の水も、そのまま生水で飲んだりするのは一寸抵抗があるんだよ。ともかく利根川の河口に位置する銚子では、安心して飲める水に恵まれていない印象があるよ。

 その利根川の上流で、化学物質を川に流した企業があると言うじゃないか。
酷いじゃないか。最近、放射能を含んだ水が海に流れた事故があったばかりだよ。今度は、後の事は知らん振りで流した疑いもあるそうだね。

 
親父さんが言っていたけれど、”水に流す”という言葉使いがあるんだってね。具合の悪い事や過ちを水に流して、過去の事にする。つまり忘れちゃう。日本人の悪しき習わしなんだってさ。
 
 親父さん、こんな昔話をしていたよ。昭和四十年代後半のことだって。
千葉市が市内の中学校生徒や、市民家族のために、野外活動施設を群馬県水上市に建設したんだってね。その施設は、”高原千葉村”と呼ばれて、今でも市内の全中学生が、一度は、本格的な山野でのキャンプ体験のために訪れている筈だって。最大五百人を越える宿泊ができる施設になっているそうだよ。
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 親父さん、その建設プロジェクトに参加していたそうでね。施設から排出する汚水処理の課題検討にも参加していたそうだよ。その当時、現地の村では、トイレは浄化槽で。生活排水は小川に流すか、森で自然浸透させていたんだって。
 近くの温泉なども、大半は浄化槽を通して、利根川に繋がる赤谷川に流し込んでいたんだって。
 忘れちゃいけない事は、その下流で千葉県民がその水を飲んでいるんだよ。
下流には、水の善し悪しを選択できる余地がないものね。
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 「地元と同じ処理でいいじゃない」。市役所内部や現地の村役場には、そう言う意見も一部あったそうだよ。でも当時、既に東京湾での水銀汚染や水質汚濁が話題になっていたそうでね。
 プロジェクトメンバーの懸命な説得で、結局、現地の村役場の予算規模では考えられない程の費用を掛けて、千葉市内の汚水処理場と同じレベルの、汚水処理システムを整備したそうなんだ。

 そうした手を尽くした上で、川に流し始めたそうだけれど、今度の化学物質を川に流した企業は、報道されている限りでは、中和も浄化もしないまま。しかも同じ事の前科があるそうだね。
 昨今は、企業の法令遵守は勿論、社会的責任が厳しく問われる社会になりつつあるんだ。それをどう認識しているんだろうか?。
 
 アタシは思うよ。このような悪しき事を水に流しちゃいけない。何度も繰り返すような企業には、社会での企業活動から下りてもらうべきだよ。
 悲しいかな、犬のアタシが言っても、遠吠えで終ってしまうだろうけれどね。

 

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買い出し

  今の時季はキャベツの収穫期なんだね。
アタシんちの近所のキャベツ畑でも、北総台地に広がる畑でも、アチラコチラで朝早くからキャベツの収穫作業をやっているよ。
”灯台キャベツ”って言うブランド名を付けているんだってね。
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 キャベツは、肥えた土壌が必要なんだそうだよ。確か去年の今頃は、キャベツの収穫が一段落すると、畑土を養生するために牛糞堆肥を敷き均して、其の跡にマリーゴールドやヒマワリの種を蒔いていたよ。
 花が咲く頃は絵を見るような景色になるけれど、その前に、堆肥をトラクターで耕す時季は、アタシの鼻が曲がりそうになるよ。我慢するしかないけれどね。
 
 親父さんが週に何度か様子見に訪れる刑部岬展望施設は、旭市内の海沿いにあるんだけれど、そこから見える風車が建ち並ぶ北総台地は、葉物野菜の栽培と畜産が盛んでね。そこで生産された農産物や畜産物の大半は、都市圏に送り出されるんだ。でもありがたい事に、
 銚子周辺には小規模な産直のショップが点在しているんだ。
 

 親父さんもケンニャンも、そんなショップを探すのが好きなんだ。
他では買えないお気に入りが見つかるからね。
 小規模で宣伝なんぞしていないから、人伝に聞いたり偶然に見つける場合が殆どだけれどね。どこも知る人ぞ知る存在なんだ。

 
 親父さん、今日も、仕事で出掛けたついでとは言いながら、態々そんな店を何軒かハシゴしたんだって。バイクを走らせて気分良いお天気具合だったからね。
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  で、最初に向かったのが
、犬吠岬の外川地区にあるお豆腐屋さん。狭い坂道の途中にあってね。このお店では、豆腐のプリンを手にいれようとしたんだって。
 でも残念。朝から誰かが買い占めてしまったって。「一寸は他の客の事も考えてくれないとね」。太い腕をした豆腐屋のおかみさんが怒っていたんだって。何でも有名店が、
自分の店で売る為に強引に買って行っちゃったとかでね。
 
 次に向かったのが、旭市内。北総台地で畜産施設が点在する農村地帯さ。
雑木林を切り開いた道端に、コンテナーを改造した店舗があってね。そこで買おうとしたのが卵。黄身が朱色で、卵掛け御飯にとてもいいんだって。大きさを揃えたケースは、普通の卵の倍程の値段だけれど、規格外品だと、スーパーで買う卵より安いそうでね、アタシも時々卵焼きの一切れを味わうよ。

 
 最後は旧道に面した間口一間の
街のお肉屋さん。しかし北総台地で永く養豚業を営んでいてね。
 そこの婆ちゃんが揚げる評判のメンチカツを手に入れたんだ。ケンニャン達の好物でね。それを買って帰ってきたから、美味しそうな匂いにアタシより母さんが鼻をヒクヒクさせて、夜まで待ち切れずにとうとう食べちゃった。ケンニャン達が知ったら、きっと怒るだろうね。 

 三軒はしごして、親父さんがバイクを走らせた距離は延べ30km.。二時間程の買い物ツーリングを楽しんだそうだよ。

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ペット税

  朝は未だ、僅かに雨が降っていて、強くて冷たい北風が吹き付けていたから、雨合羽を着込んでアタシの散歩に付き合っていた親父さん、「お〜寒!」なんてボヤイていたよ。2391
  確かにこんな天気じゃあ、アタシもそうそう外で遊んでいる気分でもないんで、何時もの半分程の時間で切り上げシャワーを浴びて、後は部屋で出勤するケンニャン達を見送ったんだ。
 そんなアタシを家族は、「ココは本当にお嬢様だなあ」、何て言うんだ。
 
 インターネットで記事を読んでいた親父さんが、こんな話題を見付けてね。
 
  * イタリアでこのほど「ペット税」法案の撤回が発表された。
 ロイター通信などによると、この新税案は家庭で飼われている犬や猫など「愛玩動物」の飼い主に税を課すもの。「野良犬、野良猫対策費を捻出するため」として編み出された。
  国会の社会福祉委員会で討議される予定だったが、メディアで報じられた途端に「税が払えない飼い主が犬や猫を捨て、かえって野良が増える」などの批判が動物愛護団体などから噴出した
  
  そのニュースは、施行じゃなくて撤回だからどうでもいい話じゃないかと思うんだ。しかも外国だからね。けれど、親父さんは反応したんだよ。

 先日来、千葉のポートパークの運営について検討しているそうなんだけれど、その会合の折り発言があってね、公園をペット連れで散策する市民が結構いるそうなんだ。それに対する対応の仕方なんだって。

 親父さんが昨年、働いていた国営公園でも同じ。時にペットのオフ会とかいう、インターネットで知らせ合って、同じ犬種の飼い主が一同に集るゲリラ的な催しまで開かれてね。
 そんな時は公園のゲートを、犬を連れた家族がゾロゾロ通っていくんで驚いたそうなんだ。許可?。親父さん、事前に許可を求められた覚えはないそうだよ。

2302  現役時代、地域の住民の会合に呼び出されて、その時の議題が、「公園は子供の為に有るのか、ペットの為か」、なんて騒ぎもあったそうなんだ。
 
 アタシんちの向こう三軒両隣はいずれも老人家族で、犬か猫がペットでいるんだ。それに野良猫もいるよ。
 
 どこも問題はウンチの始末。そして犬嫌い、猫嫌いな人が受ける迷惑感。

 そんな状況に対して、公園でのドッグラン設置の是非とウンチの始末をどうするか?。現役時代からそれが課題としてあるのに、議論が先に進まないまま放置されているんだそうだよ。どこでもそうらしいんだ。

 先日、近所の集会所で受けたアタシの狂犬予防注射の後、芝生広場で行き合う飼い主さんと話を交わしたら、その機会を意外と知らない犬仲間人が多かったんだ。アタシんちには市役所から通知のハガキが届いたんだ。でも、そういう知らせが無かった家もあるそうでね。
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 「知り合いから子犬をもらって、
登録しないまま飼い続けている家が多いからだろう」、と親父さん。散歩で歩く小道にウンチが点々と落ちているのを見るにつけ、いずれはペット税が必要に成る。そう親父さんは予感しているそうだよ。

  

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自然観察会

  朝から本格的に雨が降っているよ。何時頃から降り始めたかは記憶に定かじゃないけれど、昨日、降らなくてよかった。さんざ準備に動き回った金環蝕イベントだったもの。アタシも今日のような天気にならないよう願っていたんだ。
 ま、よかった。
 
 そんな訳だから、親父さん、今日は朝からズッと書類仕事をしているよ。
先月辺りから、あまりジッとしていることがなかったんだ。季節柄、庭仕事もあったし、家庭菜園を始めたり、加えてNPOの仕事もこなしていたから。今日だって、座ってはいたけれど、何度も電話やメールで打ち合せを重ねていたよ。
 その間、アタシは親父さんの足元で居眠りしていたんだ。
 
 ところで昨日の日蝕観察を終えた後、引き続き、それに参加した人達に呼び掛けて、浜辺の植物観察会を開いたんだって。 丁度、刑部岬の展望施設の足元に位置する浜で、ハマヒルガオが満開のピークを迎えていたそうでね。
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  以前も触れたけれど、親父さんにとってコチラは未だ不慣れな土地でね、人様を案内して説明出来る程の知識はないんだ。だから、最近知り合った地元の研究者に解説をお願いして、親父さんは、参加した人達との質疑を担当したそうなんだ。

 全員で十名程だったけれど、最高齢は92歳のお爺さん。重いカメラ機材を下げての参加さ。
崖の上から下までの高低差60mを、約二時間余り掛けて歩いたそうなんだ。親父さんと同じ歳格好の男性二人。一人は、毎日、暇を持て余して、朝、今日は何をして過ごそうかと悩んでいると話していたそうだよ。この人には、この観察ツアーを月例化するから、参加の御案内を約束したんだって。
 もう一人は、岡山から軽自動車を改造したキャンピングカーを駆って、北海道の果てまで二ヶ月間の独り旅だって。この人は、やたら地質地学に造詣が深そうだって。だから、地層断面の成り立ちについて意見を交わしたそうだよ。
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    * ハマヒルガオの群落
 さらに東京大学を退官して、今は星空の写真撮影を楽しんでいる元教授。
この夏、星座の観察会企画への協力を頼んだそうだよ。そんな調子で、皆とお話したそうだけれど、その間にも、解説をお願いした研究者は、植物だけじゃなく浜で見付けた鳥の死骸に説明が及んでいたそうなんだ。
 この鳥は、オオミズナギドリというんだそうでね。オーストラリア大陸からはるばる渡ってくるんだって。
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  聞いた説明によると、毎年、この時季に千葉県沿岸の浜に数百,数千羽のオオミズナギドリの死骸が見つかるそうなんだ。最初、鳥インフルによる死亡ではないかと緊張したそうだけれど、解剖してみると、殆どのサンプルで胃が空だったって。広大な海洋を渡る間、イカや小魚を補食しているそうだけれど、十分な獲物が得られなかったから、飢えて、力尽きた可哀想な鳥だよ。

 死骸で見つかる例で若鶏が多いのは、オーストラリアで産まれ、渡りの直前に親鳥と離れるためらしいね。まだ十分な飛翔力と渡洋経験のないまま、日本に向かう間に、弱かったり、餌に恵まれない所為で力尽きたんだね。

 冷徹に言えば、弱者をふるい落とし、適切な群れの数を保つ自然摂理なんだって。
 千葉市で開催する自然観察会とは一味違う、よりワイルドな観察対象に恵まれて、主宰する親父さんも次回に向け、やる気のでる一日だったとさ。
 
 

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イベント

  「こりゃ駄目だ!」。 
そう言いながらも親父さん、朝四時過ぎにでかけたよ。刑部岬へ行ったんだって。
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   旭市の写真愛好クラブの人達と一緒に、準備を重ねていた金環食を撮影するイベントなんだって。例え太陽が顔を出さなくてもイベントは中止しない。そう決めていたんだってね。そしたら皆を試すように雨がパラパラと。
それでもみんな希望を捨てなかったんだね。三々五々、刑部岬の展望施設に集って、銘々、工夫した撮影道具を披露しながら、あ〜だこ〜だと盛り上がっていたんだって。
 そしていよいよ金環食の始まる時間になったんだ。 すると不思議な事に雲が薄くなってきたんだって。
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  親父さん、持参した観測グラスを、何も用意せず立ち寄った人達に配ったそうなんだ。そしたら自分の分がなくなってしまったんだって。
 しょうがないから、TVカメラで太陽を撮影して、インターネット放送を試みていたグループの所へ行って、そのモニターで鑑賞したそうだよ。
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  雲が太陽を遮っていた御陰で、望遠レンズに遮光フィルターを付けただけの装備でも、写真は撮れたそうだよ。
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  事前の準備で、観測方法に色々なアイデアが出されてね。銘々、手作り装備を持参したんだ。 結果を言うと、何とか巧くいったのはこの人だけ。親父さんが首を傾げた数々のアイディアは、名案ならぬ迷案に終ったとか。
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  金環食で太陽が月の影と完全に重なったら、夜のように暗くなる。そう親父さんは予想していたんだって。でも、そうはならなかった。雨の日の昼間な感じだったそうなんだ。
 でもね、その時、灯台の明かりが点灯したから、やはり暗くはなったんだね。
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   今日のイベントは上出来。親父さんも写真愛好家グループの人達も楽しんだそうだよ。よかったね。
  

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アレルギー

  朝から風が弱いけれど曇り空で、その所為か其れ程暑くもない一日だったよ。
ただ気掛かりは明日の空模様でね、
 夕方、西の空は夕焼けで赤く染まっていたんだけれどね。
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  なにしろ親父さんの提案が始まりで集ってくれる、二十人近いアマチュアカメラマンが、世紀の天体イベントを愛機に収めようと、レンズの砲列を並べる手筈になっているんだってさ。最初はね。
 ところが問題があったんだ。もともと星座や野鳥の撮影を趣味とする人達だけれど、太陽の撮影は誰も経験ないんだって。
 さあどうするのか?。

 ところでアタシはお尻美人なんだよ。散歩で出逢う人が皆、お尻が可愛いと言ってくれるんでね。
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   そのカッコいいお尻に問題が出たんだ。
 お尻の穴の右側に、一円玉程のハゲが出来たんだ。二三日前から、束になった毛が抜け落ちているのに気が付いてね。恥ずかしいから言いたくないんだけれど、穴が二つ並んでいるように見えるんだよ。これじゃあ、お尻美人が台無しじゃない。
 しかもやたらに身体が痒くて、頻繁に掻き掻きしているんだ。

 「これはダニが喰い付いたのかもしれない?」、と親父さん。とにかく銚子は湿気っぽいから草むらにダニが多いそうでね。
 「ダニ駆除の処置は済ませてあるよ」、とケンニャン。
 
 結局、クルマに載せられて病院へ行ったんだ。「おや、ココどうしたの?」。馴染みのお医者さんだから怖くはないけれど、診察台に載せられ、ジロジロ観られるのは嬉しくないよ。「ウ〜ン。ダニじゃないね〜。肌に問題はなさそうだしね」。
 そりゃそうさ。外出の後はシャワーで埃や汚れを落とすのが日課だもの。

 ストレスじゃない?。何しろアタシの思う通りにならないことが多いから。「広場で毎日走り回っているんだ。ストレスなもんか」。
 
 「そうそう、人間の食べ物を食べていませんか?」。「心当たりはあります」と、ケンニャン。
 「いけませんね〜止めて犬用の餌だけにしてください。
アレルギーかもしれない。薬を処方しましょう。毎食後に各一錠。朝に小粒を一錠飲んでくださいね」。
 そんなものアタシは厭だよ、飲ませられる物なら飲ませてみな。

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バラの季節

  朝日は四時半頃には顔を出すよ。週末だからだね。利根川縁には久しぶりに釣り人が仕掛けを並べていたよ。夜露か雨か、芝生が濡れていたから、アタシもビショビショに濡れてしまったんだ。
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 何度か言ったけれど、アタシんちの庭は未だ試行錯誤中でね、完成には遠い状態なんだけれど、去年に比べればバラが伸びてね。肥料をどっさり施した所為だろうけれど、花が沢山咲いているんだ。
 でも親父さんは今一つ、納得していないんだ。花の一つ一つがピュアーじゃない。雨に遭うと首が垂れてしまう等々。窒素系肥料が多過ぎたんだそうだよ。
勿体ないと思うんだけれど、親父さん、ハサミで容赦なく花を切ってしまうんだ。
 それより奇麗なんだからいいじゃん。家族は満足しているんだから。
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 この週末、アタシんちの建っている宅造地で販売促進のキャンペーンが催されるそうなんだ。何しろ、売れたのはアタシんちともう一軒しかない場所でね。
 利根川を一望できて良い所だと思うけれど、売れていないんだよ。宅造地の入り口にある花爛漫のアタシんちが、モデルハウス扱いさ。さしずめアタシはマスコット犬だね。
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アライグマ?

  本当に怖かったよ。
 ピカッ、ゴロゴロ、ガーン。明け方、部屋の隅で独り寝ていたんだよ。何となく地響きのような音を感じてはいたんだ。突然、身体の中まで突き抜けるような稲妻が光ってね。
 
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 昨日、千葉市へ出掛ける予定の親父さん、朝早々にアタシを散歩へ連れ出してくれたんだ。何時もと違う雰囲気を感じてはいたんだ。でも、母さんも一緒だから何の疑いもなくランラン気分で歩いたよ。週に何度か歩く慣れたコースだしね。
 そしたらさ、途中からやけに犬仲間に出逢うじゃない。アタシと同じコーギーにも逢ったし、トイプードル、シェパード。色々居たよ。それなのに誰も教えてくれなかったんだ。否、アタシと出逢った犬仲間自身も知らなかったかもしれない。
 
 道角を曲がった先に、人だかりと犬仲間が集っていて、そこに連れて行かれそうになってね。不安になって親父さんに逆らったよ。何しろデッカイ犬がアタシに近寄って、馬乗りになろうとするし、威嚇するチビ犬もいて、正直怖かった。
 逆らいきれずに白い服を着た見知らぬ親父さんの前に引き出されたんだ。その親父さんは、針のような物を片手にアタシに近づいて、いきなりアタシの首輪を掴むなり、持っていた針をアタシの身体に突き立てて。
 あれ!。なんでもないや。とにかく何があったのか分らないけれど、「ハイ、お疲れさん」、だって。後で聞いたんだ。狂犬病の予防注射だって。
 でもね、怖いと感じる事が続いているんで、ウンチも下痢気味なんだよ。

 その後親父さん、千葉市へ出掛けたよ。会合に出席するとかでね。
     * 画像はGoogle Earth より
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 「あのねえ〜、アライグマの足跡を見たよ。居るんだねえ」。
千葉市で出席した会合で、旧知の森林学者に開口一番そう言われた親父さん。
 千葉港の一画、臨海公園に建つポートタワー。その足元に人口の渚があるんだ。普段は、初心のウインドーサーファーが練習していたり、親子連れが磯遊びに興じたり。そんな場所の濡れた水際で見付けた足跡なんだそうだよ。

  * 画像はWeb より
Images  市内に住む親父さんの仕事仲間でもある森林学者は、この春から、その臨海公園で自然観察会を主宰し始めたそうでね。親父さんも、その公園で活動する花修景ボランティアグループの発足とサポートを担っているんだって。そんな関係で、親しく言葉を交わす間柄だそうでね。
 
 「狸か猫の足跡じゃない?」。そう冗談半分に言った親父さんに、狸の爪はこうで、アライグマは。。。真顔で説明し始めたんだって。勿論親父さん、その人の見識を疑う気は全くないから、これも真顔で応答したそうでね。話に熱が入り過ぎて、会合の幹事役に叱られてしまったんだとさ。

 アライグマは、本来、日本列島には棲息していなかった動物なんだってね。幼獣の時は如何にも愛らしいから、ペットとして海の向こうから連れて来られた例があるそうだよ。ところがアタシ達犬族と違うのは、成獣になると野生化して凶暴になることが分ってね。で、ペットで飼っていた人達が持て余して、”お前の本来の居場所に戻してあげる”なんて野山にポイしたんだね。

 親父さんが言うには、千葉県の生物誌という権威ある資料にも、県内の彼方此方で野生化したアライグマの目撃記録が記載されているそうだよ。
 千葉港の臨海公園は周りを市街地で囲まれているから、他から自分で来たとは思えない。やはり誰かが連れて来て捨てたんだろうね。
 
 この公園には、正確には分らないけれど、相当な数の野良猫が棲み付いていてね、毎日、餌を与える市民が複数いるんだって。公園管理者が困り果てて、野良猫をこれ以上増やさないよう、その人達との話し合いを試みているそうだよ。  森林学者が言うには、もし、アライグマの存在が確かなら、野良猫も安心して暮らすことができなくなりそうなんだってさ。

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復興と街起こし

  昨夜の雨も止んでお天気が回復したけれど、気温が高くて湿気っぽい。
アタシには快適とは言えない気候だよ。
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  それでも親父さん相手に濡れた芝生広場を駆け回って、泥だらけさ。

 夕方、旭市での会議に出席していた親父さんが戻って話していたんだけれど、
親父さんも参画して地域の市民が主催する金環食イベントが、例え金環食を観察できるお天気にならなくても実施することにしたんだって。それじゃあ、主役抜きのお芝居みいたいになるじゃない。

 親父さん、笑っているけれど、雨になる可能性だってあるんだよ。一体全体、何を考えているんだろうね。
 
 どうやら完全な雨模様なら金環食目当ての人は来ない。けれど、曇り時々晴れなら、その時一陣の風が雲を吹き払って金環食ショーが観えるかもしれない。それを期待して駄目元で来る人は必ずいる。そんな人達相手に残念会を開くと言うんだ。
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 親父さんが施設の運営に関っている刑部岬の展望館は、旭市の飯岡地区に有る事は、これ迄にも何度か触れた積もりだよ。この展望館から見下ろした街が、千葉県内でも最大の津波被害を出したんだ。
 写真からはその様子は窺えないけれど、海岸を歩き回れば相当の爪跡が分るんだって。
 今、親父さんが御付き合いする旭市の市民は、その被災者支援に立ち上がった人達でね、皆の行動を動機付けた原点は、3、11飯岡津波の被災にあるんだって。
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 だから、この人達と歩みを一つにするには、一見、無関係なようだけれど、刑部岬の展望館で開かれている写真展も、今準備中の金環食イベントも、全ては被災者支援と被災地の復興に繋げるべきものなんだそうだよ。
 何しろ、親父さんが関る以前から、皆は展望館を被災からの復興を目指す市民活動の拠点と決めていたんだそうだよ。
 『何故?」。親父さんの質問に市民の世話役さんが答えたよ。「ここから被災地が一目で見渡せるでしょ」。確かに。
 
 今日の会議で決まった事は、金環食イベントの企画に集った人達に呼び掛けて、この展望館がある高台から波打ち際に下りるエコツアーを加える事にしたんだって。下に降りてどうするの?。
 「被災地に近づくだろ。それが大切なんだ」、と親父さんが申しております。   
 
   

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雨水

  アタシが毎日走り回っている利根川縁の芝生広場だけれど、昨日も話したけれど、草刈り作業がおこなわれてね、親父さんが見守っていたハマヒルガオが刈り払われてしまった。それだけじゃないんだ。やはり親父さんが、この冬、隣の道路予定地である空き地から移植したスイセンも刈り取られてしまったんだ。ただスイセンは、もう葉が枯れ始めていたからね、実害はないそうなんだ。
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 それはそれとして、アタシとしては喜んでしまったこともあるんだ。刈り払われて集められた草が、小山のように積み上げてあったんだよ。
 全力疾走して、その刈り草の山に飛び込んだよ。昨日のお天気で少し乾き始めていた草が、何とも言えない薫りがしてね。フワフワ柔らかい草の心地よい感触に、湧き上がる様な嬉しさを感じて転がり回ったんだ。
 こうして思う存分身体を動かせる環境があって、本当にアタシは幸せなんだね。

 今日は、十時頃から本格的な雨が降り始めているんだ。昨日、先週から始めた家庭菜園で、野菜の支柱などを組み立てた親父さん、カラカラに乾いている畝に種を播いた落花生や、サツマイモの苗に灌水を始めたんだ。ところがね、アタシが観ていると、如雨露の先から出た水は、地面で弾けて砂を飛び散らせるけれど、直ぐには滲み込んで行かないんだよ。水を弾く土質なんて?、だよ。
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         *写真は印旛沼  
 
 時間を措いて何度も水を撒いたけれど、指で土の表面を引っ掻くと、カラカラに乾いた砂が現れるんだ。とは言え耕した場所では、播いた水も直に滲み込んでいるからね。 アタシんちの庭は山砂で埋立てた場所でね、ザルに水を掛けるように、幾ら水を撒いても切りがないんだ。でも、かえって植物を管理する面では、メリットがある。そう親父さんは言ってるんだ。
 一方、家庭菜園で使っている土地は、一見、海岸のような微細な砂。砂というよりダストのようにも見えるよ。水を撒くと、ダストが舞い上がるように水が跳ね散るんだよ。厄介だね。
 
 そんな場所なんだけれど、雨水は、割と素直に受け入れている様子でね。滲み込んでいるようだよ。おそらく、雨水の水滴と降りの強さがポイントなんだろうね。
 だから、辛抱強く、雨の降る様子に似た水遣りを始めているけれど、雨が降ってくれないと、例え毎日通いつめて水を撒いても、野菜の栽培は無理かもしれない。
 
 そんな訳で、雨が降ってこれ幸いに親父さん、今日は何もせず、アタシと椅子で居眠りしていたよ。それでも明日は、刑部岬で21日の金環食観察の準備。明後日は千葉市での会合。だから一時の休憩さ。 

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