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2010年3月17日 (水)

鎌倉のイチョウ

  

先日、古樹の樹齢を話題にした直後の鎌倉八幡宮の大イチョウの倒壊。幹の中が空洞になっていたのには 驚いた。これじゃあ、年輪から樹齢を調べようが無い。千年以上と伝えられている樹齢の確認を、科学の力で割り出すべきか?。それともこのままそっと、伝説 の中に埋葬すべきだろうか。日本人の感性では、そっとしておくことを選ぶ?、じゃないかと思うのだ。

 

         * 画像は Photo news より

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もう30年ほど昔、幹が朽ちた古樹の樹勢回復を試みたことがある。当時、南房総清澄山系にある東京大学演習林長を務め、千葉市内に隠居された(故)渡辺資仲博士のお手伝いを買って出た。
 鴨川市の海岸先50mに,仁衛門島という岩礁がある、
平野仁衛門という市民の個人資産で、観光地として公開されているのだが、その島にある屋敷裏に、樹齢三百年と言われるが生育していた。樹齢が三百年の根拠は、その家に伝わる古文書にその松が明記されていることからだ。この松が枯れ始めた。何とか回復を。。。
 博士の背中越しに松を観察すると、葉の枯れ以外に、幹の蕊がバナナの皮が割れる様に露出して、ボロボロだ。 博士は私に、丁寧に先生の見立てを話してくださった。それを聞いて、これは人間の
外科手術と同じだと感じたものだ。
 
 患部を奇麗に切除して、消毒して、詰め物で補強する。詰め物には、木材には木材でと、コルクとカシューナッツを、松脂で混ぜて粘土状にした物だ。松脂を集める事自体、困難なことだった。今なら、高分子化学技術で、松脂に近い性質の樹脂が造れるだろう。手術後の養生もした。けれど、回復は成らなかった。

 今でこそ、樹医が樹木の外科手術などと、その技術や知識を売りにしているが、当時、そんな手術を考えていた人はいなかった。
 今日まで、いろいろな場所で、いろいな経験が積み重ねられているけれど、それでもケースバイケースだ。

 大イチョウの回復は絶望。私の母校で教鞭をとる教授が断定したそうだ。

132695_pc_m  * 画像はWeb より

 その後の報道だが、考える事は皆似ている。私も、頭にクローンの事が過った。

 3月11日付け産経電子板

 強風の影響で倒れた鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)の大銀杏(いちょう)について、関係者らが「保存」と「再生」を目指して、検討を始めた。
 11日、神奈川県は八幡宮側に「倒木を保存してほしい」と要請した。倒木の保存では、一般的に年輪が分かるよう輪切りにするなどの展示方法がとられる。しかし、八幡宮側は「大切な神木で輪切りはありえない」としており、今の形をできる限り残す方法を模索することにしている。

 枝を挿し木法でクローンとして再生を試みる。地中に根を残して、再発根に期待するとか、幾つかの試みが始まったようだ。再生は絶望的と断じた教授も、最近の報道では、原形回復は無理だが、母樹として、苗で再生なら可能性ありと、見立てを変えてきている。同じ技術屋としては意見を同じくするのだが、御神木という霊的な意味での答えの出し方はどうするのだろうか?。見守りたいと思う。
 

 

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