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2013年6月30日 (日)

スカシユリ

 ”千里千風”。
 茨城県の海沿いの街に伝わる昔話しでね。親父さんは数年前、その話を耳にしたそうなんだ。
鹿島灘から吹き寄せる強い海風に晒されている、そんな海岸の砂丘の風陰に建てた粗末な家屋。砂浜につくった塩田での製塩。そんな小さな寒村が、一晩、あるいは数日。それとももっと長い期間かもしれないが、激しく吹き寄せた海風に、砂丘も動かされて、その村は埋もれてしまった。そんな話の筋なんだって。
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 その事情は今も変わっちゃいないんだって。むしろ、海岸に置かれた波消ブロックや港の建設で事態は一掃複雑になっているそうでね。砂防に浸食に津波と、増々大変なんだ。
 
 昨日は親父さん、そんな海岸を訪ねたんだって。神栖市の白川浜(にっかはま)に続く海岸でね。海に向かって風車が十数基,立ち並んでいるんだ。その海岸の砂丘の風陰にね、スカシユリが自生しているんだって。その様子を観察するために立ち寄ったそうなんだ。
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 スカシユリは、ヤマユリと異なって花びらの間に隙間があることから、そう名付けられたそうだけれど、古くから栽培されて、園芸品種の原種にもなっているそうでね。それだけ親しまれているんだね。

Img_5466  けれど、激しく動く流砂に耐えて成育する
海岸砂丘の植物の中でも、元々数少ないスカシユリは、今ではレッドデーターブックに記載される存在になってしまったんだって。

 親父さんが知る海浜公園でも、その昔、園内の海岸砂丘でスカシユリの群落が観られたそうなんだ。けれど海岸道路が建設されて以来、風道が変わって砂丘の形も変わり、根元の砂が流されたり。 

 それが原因の全てではないだろうけれど、今では疎らになってしまってね。
 十年近く前から、ボランティア市民がその再生に取り組んでいるんだけれど、うまくはいってないんだそうだよ。

 球根を移植しても、数年で姿を消してしまうんだって。種を蒔いて発芽させても、その後の成育ははかばかしくなくてね。

 親父さんも栽培を試みているんだ。庭の一隅でハマヒルガオが生え広がっている場所に、数個の球根や種を埋めたんだ。球根は、翌年こそひっそりと開花したけれど、以降は、地表に葉が顔を出す程度でね。種は全くさ。

 古くから栽培されていた筈だから、どこかに技術的な答えはあるんだろうね。勿論、園芸的手法での肥培管理でなら、なんとかなるのかもしれない。けれど、あくまでも砂丘での群落再現が目的なんでね。配合された花壇の土に肥料も与えて、という訳にはゆかないんだって。
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 ともかく希少な自生の様子を観察したそうでね。だからどうする訳じゃあないけれど、しっかり目に焼き付けて来たそうだよ。


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