空梅雨
親爺さんに促されて渋々散歩に出たよ。
未だ朝陽が昇り始めたばかりだから昼日向よりはマシな筈だけれど、アタシとしてはね、歩き始めて数十mも行かぬうちに、頭に浮かぶ事はただただ”水”が飲みたい。
散歩コースによっては庭仕事用にバケツに水を入れて、それを道端に放置してある家や、お寺の墓地の水場、水草の栽培容器の水、窪地に溜まった泥水。ドブの水と、どんどん飲めれば質は問わない気分になるんだ。
幸運にも勝手口に水道とバケツがある家を見つけて、親爺さんにその水道の水を少しバケツに入れて飲ませてもらっても、ものの百mも歩けばもう”水、水、水”な気分で、親爺さんの制止を振り切って道沿いの庭に入り込んでね、ひたすら飲み水探しさ。
最近では親爺さん、散歩に水筒持参だよ。自分が飲むんじゃなく、アタシ用でね。けれど親爺さんが水を飲みたければ、半分あげてもいい気持ちではいるよ。
今年の梅雨は空梅雨だよ。
何しろ親爺さん、毎日庭の植物に水を遣っているよ。例年にない事だよ。まるで真夏期の干ばつ状態に近いよ。
親爺さんに聞いた話しだけれど、あるワークショップで子供達の夏休みイベント用に、カブトムシやクワガタを培養飼育しているそうなんだ。雑木林の一隅に穴を掘って、そこに昨年の落ち葉を堆積させてね。適度に湿り気を与えるために必要に応じて水をかけるんだとさ。するとカブトムシやクワガタの幼虫がゴソゴソ生まれるんだ。処が今年は全くダメなんだとさ。このままじゃ、夏休みの子供イベントが開けないかもしれないとさ。
そのワークショップは貯水池の傍にあるんだそうだよ。先日、親爺さんが貯水池を覗いたら、水位が大分下がっていたそうでね。九州地方じゃ記録的豪雨が続いているそうだけれど、その雨雲が関東地方まで近寄ってくれば、八方丸く収まるんだけれどね。
とにかく最近のアタシにとって散歩は苦行なんだ。でもね、散歩しないと肥満体になって・・・。え
!、もう十分肥満体だって。
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