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2019年1月23日 (水)

不通

  日の出の頃、月は未だ西の空に残っていたよ。

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「コーチャンがね、背中が痒いって」。「注射で痛い」。
 そんな彼が先日口にした言葉にね、家族皆大喜びさ。ともかく彼は自分の意思を言葉で示せないんだ。そんなコーチャンが、盛んに背中に手を伸ばしている様子にね、マユちゃんがどうしたのと聞いたんだ。「背中が痒い」。その一言は衝撃的でね。
 初めて自分の様子を語ったんだ。今までは、ただ黙ってしまうか、泣くだけ。その様子を聞いた家族は皆、大喜びしたよ。普通、4歳児にもなれば、一応の会話能力は備わっているんだけれどね。
 おそらく彼は、周りの会話の大部分を理解できている様子でね。ただ、話せない様子さ。英語が聞けても自分から発言できない日本人。そんな感じだね。

 それでも最近、ようやく現実と彼の感覚に繋がる言葉を発する機会がね、出てきたんだよ。今朝はね、「今日は保育園?」。

 発達障害児と診断されても、その症状は人様々らしいんだ。共通する症状もあるそうだけれどね。ケンニャンの同僚が、やはりコーチャンと同じ年齢の発達障害児を抱えていてね。我が家同様なんだとさ。だからしばしば言葉を交しあっているそうなんだ。

 食べ物も極端な偏食でね。時折、暦が変わるように食癖が変化してね、今は果物ならイチゴとリンゴとミカン。ご飯は鮭フレークを混ぜたご飯と味噌汁のワカメ。
 ラーメン。菓子ならチョコビスケやポテトチップス。パンもイチゴジャムつければ食べる。それだけを毎日食べているんだ。
 彼の食事の準備をする親爺さん、食育を論ずる余地もない現状に、かなり心配している毎日なんだ。施設の給食も、それらの食品がだされれば貧欲に食べているらしいけれど、そうでなければ何も口にしないとさ。定期的な検査では、体の発育に問題なし。

 彼は自分の名前を知っているよ。自分が呼ばれているのも分かっているよ。けれど、名前を呼ばれても「ハイ!」と返事しないんだ。

 童謡に”迷子の子猫ちゃん”というのがあるけれど、正に迷子になったら歌同様さ。先日親爺さん、そんな夢を見てね。気になってマユちゃんに名札をつけることを提案したよ。彼女は同意していたけれど、その後、具体的な行動をとっていない様子だから、先日のインフルエンザ注射騒ぎと同じ轍を踏むことにならなければいいんだけれどね。

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 「個人情報の保護と防犯上、学校では見えるところに名前をださない。だから」。「それに目を離さないから大丈夫」。ケンニャンの言葉にね、親爺さん、思わず絶句だとさ。
 状況に対する優先度があるだろうってね。危機管理意識がないんだろうかとね。親爺さん、子供の頃、見知らぬ街の動物園で父親とはぐれてね。振り返ったら、見知らぬ人の手を掴んでいたんだ。その時の不安は、今でも覚えているそうでね。先日公園でね、ケンニャンと親爺さんがいる場所で、それがコーチャンに起きてね。親爺さんは一部始終を見ていたから、直ぐに動いたけれど、ケンニャンは親爺さんが告げるまで気付かぬままだとさ。

 子供から目を離さない。その真の動作をケンニャン達は未だ身についていないんだとさ。彼らだけじゃないよ。遊ぶ子供達を尻目に、おしゃべりやスマホに気を取られている保護者の何と多いことか。
 現役時代、公園管理者としてね、そんな緩い姿勢が結果として大勢の人を駆け回わらせる事態に繋がった例を、なんども見聞したとさ。保護者曰く。「大丈夫と思っていたと・・」。
 親爺さん、老婆心とは思うけれど、黙ってもいられないとさ。 

 最近のコーチャン、保育園で親爺さんに引き渡されると、素早く身を翻して駐車場から道路へ向かって駆け出すんだ。親爺さんが追いつけない程にね。
 彼は親爺さんが追ってくることを期待してね。遊んでいるんだ。
いつも何とか道路の手前で取り押さえるそうだけれど、親爺さん、ハラハラだとさ。今日も間も無くお迎えに行く時間だけれど、その鬼ごっこ、何とかやめさせないとね。けれど叱ると、壁に自分の頭を打ち付ける自傷行為を始めるんだ。
 目が離せないよ。

  「コーチャン、庭の扉を開けてココを出してあげておくれ」。親爺さんがね、コーチャンに声をかけたんだ。彼は親爺さんの頼みを理解したんだね。半日、庭に閉じ込められていたから、彼がドアを開けて出してくれてうれしかったよ。それをどう示したら良いのか、アタシも分からない。けれどありがとさん。

 

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