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2019年2月28日 (木)

記憶の中?

 「ガクジさんにお礼を言って!」と、母さんが言ったとさ。

 今朝は霧雨が降るような空模様だったから、散歩は家の周囲をブラブラしただけでね。家族がそれぞれ出かける頃には本格的な降りになってしまったよ。
 アタシが外へ出る度に親爺さん、モップを持って床掃除さ。濡れた足跡がね、くっきり残ってしまうものだからね。
 今日のアタシは、雨に身体が濡れる事も気にならず、路上に座っていたから親爺さん、どうかしたのかと気を揉んでいた様だよ。最近、アタシに気がなさそうだから、少しは気を揉ませてもいいでしょ。

 処で昨夜、居合わせた家族で分け合って食べたコーチャンの誕生祝いのケーキ。薄くスライスした一片を残して、病院に入っている母さんにも食べさせようと親爺さん、強く降り出した雨の中、お皿に載せて出かけたんだ。強くブレーキを踏むと、とんでもないことになるからね、慎重に車を走らせたとさ。

 病院に着いて、母さんに食べさせる許しを得るため、看護師さんに、お皿に載ったスライスしたケーキの一片を見せたとさ。「4歳になった孫の誕生祝いなんですよ。彼女にもと」。「そうですか。じゃあ二口三口程度で」。
 
 病室で母さんに食べさせたけれど、母さん、二口三口分を残して、後は綺麗に食べてしまったとさ。食いしん坊な人だからね。
 その時に言ったとさ。「ガクジさんにお礼を・・」。何の事?

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 親爺さんが聞き返すと、どうやら前任の理学療法士の青年が、プログラム外に特別に今日も指導してくれたそうなんだ。それについて、お礼をとね。
 親爺さん、それは理解したそうだけれど、”はて?ガクジさんとは”。

 その理学療法士の名前は違うんだとさ。親爺さんがその名前の記憶を辿ると、十数年前、千葉駅のコンコースなどでライブ演奏をやっていたミュージシャン志望の青年でね、母さん、その青年の追っかけをやっていたんだとさ。
 親爺さんには、「この青年は将来、有名になる」と力説してね、インターネットに出ている青年のホームページを親爺さんに出させて、ライブスケジュールを確認しては追っかけていたんだ。
 千葉市内や県内でのライブはまだしも、一度は都内に出かけて終電に間に合わず、親爺さんが車で迎えに行ったそうでね。深夜の駅頭に独り、待っていたとさ。五十代のオバさんが、二十代前後の若者と手を振り上げ声を上げていたんだね。そんなシーンは想像したくないよ。

 その追っかけは銚子に越して来ても続いていたそうだけれど、3.11を契機に疎遠になった様でね。母さんの追っかけには師匠がいたんだとさ。当時の母さんの職場の先任同僚でね。五木ひろしという歌手を追いかけていたそうでね。働いた給料全てを巡業について行く費用に使い果たしているような人だとさ。
 さすがに母さん、そこまではしなかったけれど、そのミュージシャン志望の青年を、まるで息子のようにね。

 理学療法士の青年、当時のミュージシャン志望の青年と似ている?。年齢は近いかも。ともかく親爺さんが聞き出した話では、母さん、理学療法士をそのミュージシャン志望と重ね合わせて。心が十数年前にワープしている様子なんだとさ。
 こりゃ、認知症の影響なんだろうかね。
 今頃、そのミュージシャン志望の青年は?。もうおっさん年齢な筈だとさ。
母さん、目を覚ましておくれ。
 

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