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2019年10月14日 (月)

騒々しい夜

 避難勧告が発令された昨夜、親爺さんとアタシが家に残り、ケンニャン家族は車で5分程離れた親戚宅に避難したんだ。家に残って夜を明かしたアタシと親爺さん、ほぼ3時間間隔で利根川の水位を確かめていたんだ。

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 その時親爺さん、家の窓から暗い川面を双眼鏡で眺めて、冠水して川の一部になった岸に放置されている、3・11大震災で利根川を遡上した津波に岸上に放り上げられたテトラッポットがあるんだ。その水没具合や、今は水際化している住宅地の土留め擁壁に立てかけられた測量用のポールでね、水位の変化を観察していたよ。もう一つ、玄関脇の道路側溝。さらに水位が上昇すれば、川水が擁壁を超えて流れ込む以前に、その側溝のグレーチングから逆流する水が溢れ出る。そう親爺さんは観て、その側溝の水の満たし具合もね、チェックしていたんだ。

 水位の様子だけれど、利根川本流はいつも潮汐の干満に対応して上下するから、昨日の満潮時、かなりギリギリに近く上昇したのだけれど、その後干潮に向かって水位は下がる筈。それが親爺さんの予測だったよ。処が意外なことに、水位は明け方まで満潮時とあまり変わらなかったんだ。予想と違ったものだから、親爺さん、かなり緊張した面持ちだったよ。

 その背景にね、昨夕、90歳になるご近所の爺ちゃんと出会ったんだ。爺ちゃん家は利根川から見てアタシんちより数十m陸側だけれど、やや低地でね。だから利根川に繋がる排水路からの逆流水が庭に流れ込むんじゃないかと、心配していたんだとさ。我が家は親爺さん、住宅地を造成した業者さんの意見を聞かず、今回のような事態に備えて更に宅地を嵩上げしていたからね。だから多少は気持ちに余裕を持っていたとさ。処がその爺ちゃん、地元っ子でも「これほどの事は今まで経験したことがないよ」。そんな事を言うものだから親爺さん、一気に心配が増していたんだ。

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 昨夜は親爺さん、タイマーをセットして定期的に起きていたんだけれど、実は殆ど眠れずさ。アタシもでね。理由は見物人の所為さ。明らかにご近所さんではない人達が、入れ替わり立ち替わり車を乗り付けては、住宅地に迫った水際を眺めて声高にお喋りさ。その都度アタシが玄関で吠えたものだからね。

 3・11津波でも、沖から押し寄せる津波に歓声をあげる人達の声がビデオに記録されていたけれど、怖いもの見たさなんだろうね。いい感じはしなかったよ。

 辺りが明るくなった5時過ぎ、親爺さんと街へ散歩に出たよ。川に近い住宅地を抜けようとしたら、冠水して普段とは違う景色にね、戸惑ってしまったよ。そこにも人が様子見に入れ替わり立ち代り。「ここまで水が来たなんて、初めてじゃないけ」って、互いに言葉を交わし合っていたよ。

 利根川の水位は午前10時頃には目に見えて下がり始めてね、昼前には銚子市も対岸の神栖市も避難勧告が解除されたんだ。それを待っていたようにケンニャンたちが帰宅したよ。「ああ。お風呂に入ろ」ってさ。

 再び姿を現した芝生広場に白鷺が数羽、何かをついばんでいたよ。親爺さんが確かめたら、どうやら濁流に運ばれてきた小魚らしいね。なんとも自然の生き物はたくましいね。

 

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