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2019年10月23日 (水)

実証

 久しぶりに朝陽を迎えたよ。10月も既に終盤に近いけれど、記憶を思い起しても今日のような秋晴れは少なかったよ。台風の記憶が鮮烈過ぎたからかもしれないが。

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 処で今日は記憶力について、披露したいエピソードがあるんだよ。それは夕食の席でのことでね。アタシは自分の食事は既に終えて、帰宅したケンニャンにオヤツをねだって纏わり付いていたんだけれど、切りがないからと親爺さんに家の外へ出されてしまったんだ。その後のことさ。家の中で時ならぬ興奮した大声が聞こえてきたよ。

 「そうそこよ。できた〜。コーチャンできたじゃない」。大声の主はマユちゃんさ。何事かとドアの隙間から中の様子を伺ったんだ。テーブルに座ったコーチャンが、絵ボタンが沢山あるオモチャでね、絵ボタンを押すと、それぞれボタンに割り振られた単語がスピーカーから流れる仕組みなんだ。

 アタシが見た光景は、マユちゃんやケンニャンが「コーチャン、りんごはどれ」と質問すると、コーチャンは沢山並んだ絵ボタンからリンゴのボタンを探し出して、それを押す。するとスピーカーからボタンに割り振られた”りんご”との発声が流れるんだね。単純なオモチャだから、普通児なら苦もなくやってみせるだろうね。発達障害児のコーチャン、いままでそれができなかったんだ。

 今日、それは食卓の席でさりげなく始まったんだ。マユちゃんが声を上げた”りんご”という言葉にコーチャンが応えて、絵ボタンを押したんだ。スピーカーから「りんご」と鳴ったよ。それでは・・・と次々に繰り出す指示にコーチャンは正確に反応してみせたんだ。今まで、指示に応えることもなかったからね。だから家族は興奮状態になってね。

 発達障害児(自閉症スペクトラム)は、周囲の状況から隔絶した自分の世界にいて、だから周囲からの働きかけに応える術を知らないか、または考えられない。だから・・・。そんな先入観を持っていた家族は、周囲のの問いかけに応答できない彼の様子を観て、悲観的になりかけていたんだよ。名前を聞かれても知らぬ振りのコーチャンさ。けれど今夜の出来事は、トランプの”神経衰弱ゲーム”のように、短時間に割り振られたボタンの役割を記憶して、指示されたボタンを探し出して正確に押せる。つまり記憶力に問題ないことを証明したんだ。教えればピアノでもパソコンでも、鍵盤やキーボードが記憶できて、使える可能性があるということなんだ。

 「コーチャンに今度はオシッコとウンチを教え・・・」。ただでさえ大きいマユちゃんの声が、一段と大きくなったよ。

 

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