転倒
アタシが知る限り近頃の親爺さんは足元がおぼつかなくてね。階段や段差でよく転ぶんだよ。幸い、骨折するには至っていないけれど、身体のあちこちには擦り傷の跡が増え続けているんだ。
今朝は親爺さん、可燃物のゴミ出しでね。玄関から運び出そうとして外階段でバランスを崩してね、顔面着地さ。アタシんちのゴミはご近所さんに比べても結構多いんだ。ゴミ袋は破裂せんばかりに膨らんでいるよ。なにより二人の幼児の使用したオムツ。これがもっとも嵩張ってね。測ったことはないけれど、一個あたり500g前後にはなるだろうね。それが毎回20個以上だからね。幼児が一人の時は母さんがオムツ使用でね。
それはともかく、一杯のゴミ袋をゴミ出しするのは親爺さん。今朝転んだ処をアタシは見ていないんだ。聞く処、しばらく階段下で呻いていたとさ。そして指先から手足と少しずつ動かして、這うようにして立ち上がったらしいよ。その時は感じなかったらしいけれど、アタシが親爺さんを見た時は。額の右側と鼻柱に擦り傷ができていたよ。「まあ。大丈夫」。そう言っていたよ。
その昔・親爺さんは何かで読んだそうでね。打撲はそっとしておけってね。筋肉の打撲は”静かに動かさず”ではなくて、可能なら普通に動かせ”。つまり動き回っていろってね。
以前、何度かバイクの転倒で足を骨折したり、アキレス腱を断裂したり。その度に数ヶ月、松葉杖を使っていたそうだけれど、しかしそのことを理由に仕事を休んだことは一度もないとさ。幸い、車のブレーキやアクセル操作のない左足だったからだとさ。松葉杖を後席に放り込んで、通勤と担当する現場を回ったらしいけれど、誰もその行為を評価しなかったって、当然でしょ。
大した痛みもないからと、昼前後にいつもの買い物に出ていたよ。で、帰宅した時は右手で車のドアが開けられず、身動きが辛そうだったよ。なにより顔がね、右の額の辺りが皮下出血なんだろうね。紫色に腫れてきたよ。親爺さん「以前も額を打ってね。その時はしばらくすると皮下出血した血が下がり、目の下の窪みに集まるんだとさ。で、目の周囲が黒ずんで、つまりパンダ顔になるとさ。前回もそれが消えて普通の顔に戻るのに、2ヶ月かかったとか。
今は自室でジッとしているよ。今夕、家族は親爺さんを残してお出かけだとさ。親爺さん、アタシと自分の食事の支度ぐらいはなんとかなるだろうけれど、布団の上げ下ろしは・・・ダメみたいだよ。
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