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2021年6月 8日 (火)

廃船への海路

 今朝、親爺さんが朝食を食べている時、電話があったんだ。親爺さんのヨット遊びの先輩からでね。親爺さんのヨットが舷を接しているヨットのオーナーがね、親爺さんの舫ロープが切れているってね。

 幸い今朝はマユちゃんが運動会の代休で家にいたから、コーチャンやアキちゃんの迎えは大丈夫なはず。で、親爺さん、とるものも取り敢えず千葉市へ向かったよ。3時間の道のりの果てに着いた千葉港。その隅にある船溜りでね、親爺さん、ざっと見た処、艇体に異変はなさそう。何しろ製鉄所の風下だから、鉄鋼の粉塵が雪のように積もるので、10年近く水洗いもしない所為でななんとも見すぼらしい姿だとさ。

 積もりに積もった艇体の粉塵を手で払うと、親爺さんが年に2度は車にワックスを塗り込むように、ニスを塗り重ねてチョコレート色している筈の、キャビンの引き戸や舵棒のベニア部分が、まるで日焼けして皮が剥けた肌のようになっていたって。確かに3・11以来、親爺さんが千葉市を離れてすっかり愛艇にご無沙汰でね。帆走らせることもなかったんだとさ。仕事のキャリアと趣味の時間を取引した所為なんだ。家族が千葉市から銚子に引っ越したこともあるしね。

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 親爺さん、現役を離れた後は千葉港に住み込む程の思い入れだったそうでね。そんな生活と引き換えにしたキャリアも3・11地震で挫折してしまったよ。だから結果は両損だね。

 今日、愛艇のデッキに登ってスライドハッチを開けた親爺さん、去年の暮れとは全く違った光景に息を飲んだとさ。キャビンの床やロッカーに、足首まで浸かる程のチョコレート色した水がね、ヒタヒタとね。試しにその液体を舐めてみたら、しょっぱくはなかったとさ。海水の浸水じゃなく、雨水なんだろうね。僅か半年で船内は水浸し。キャビンのクッションも水を吸ってね。

 エンジンが錆びついて不動状態だったから、もうダメとは覚悟していたんだけれど、一途の夢に再生を託していたんだとさ。親爺さん、とにかく船内に溜まった水を汲み出して、ハッチを閉めると、船溜まりの事務所に向かったって。廃船の相談にね。

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